日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
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『どこの家にも怖いものはいる』

【三津田信三 中央公論新社】

 

刀城言耶シリーズとはまた違う、実録怪談の体を取るホラー小説。

実録の体裁なので、作家の僕・三津田信三が、自分のファンであり編集者の三間坂から気になる二つの怪談を教えられる。

全然違う話しなのに、どことなく共通点があることから、他にも似たような話を探した結果、合計5つの家にまつわる奇妙な話しが集まる。

その5つと、僕と編集者の解釈パートによって構成される一見短編集のような長編ホラーです。

 

一つ一つの話しがそれぞれ怖いのだけれど、幕間のパートで共通点がないとミスリードすればするほど隠したい部分が強調されてしまって、終章でぞっとするべき部分であんまりぞっとできないというのが残念。

どこまで虚構なのかわからないよう、三津田信三自身に関する情報はそのまま載せてるのだろけど、自著の話し多すぎて宣伝っぽいのが気になるな。

 

一つ一つの話しの怖さはさすがです。

私が面白かったと思うのは二話目の「異次元屋敷」かな。割れ女の話し。

『瓶詰の地獄』
角川グループパブリッシング
¥ 562
(2009-03-25)

【夢野久作 角川文庫】

久しぶりに読む夢野久作短編集。
久しぶりだったものだからこの悪夢的世界にちょっとやられるものがある。
解説が中井英夫で、それを読んじゃうとことさら何を言うことがあろうかという気分になるのでさらっと感想を。

「瓶詰の地獄」
久作的饒舌で手紙という形式の短い話し。
無人島に流れ着いた兄妹が綴った、瓶詰の手紙には二人がどうして死を選ぶのかが書かれている。
想像通りの話ではあるけれど、この文体で綴られるとなんともぞっとする。

「人の顔」
孤児のチエ子は不思議なものが見える。
幽霊のようなもの。
この一冊の中ではユーモアのある一遍だけど、いやこのオチで笑えるかって言われると。

「死後の恋」
 
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『ディスコ探偵水曜日 下』
 【舞城王太郎 講談社文庫】

1841年のモルグ街から一世紀半少々、探偵も時空を超えて世界を助けたり滅ぼしたりするようになったんだなぁという感慨。
しかもディスコはそもそもは名探偵じゃなくて、迷子専門のハードボイルド寄り探偵。銘探偵でも探偵神でもない、ディスコが世界を変える。
たくさん登場する名探偵たちじゃなく、ディスコは子どもを助けるというたった一つの倫理で世界を救おうとする。
そこにいたるまでに時空の超越や空間のねじれや宇宙その他もろもろのわからない話しがたくさん登場するけれど、核は割りとシンプルなのでそこを見失わなければこの厚い小説も読み通せる。

個人的にもうそこそこの年齢なので最近は純粋悪というものには惹かれなくなりつつあるけれど、この小説の場合はいいんじゃないでしょうか。

最初は水星Cって何?と思ったけど、とちゅうからやだかっこいいとなります。
最終的にディスコの気持ちの一つかと思ったけど。
本家の清涼院流水より九十九十九を使いこなしているような。
他の舞城作品とリンクしているというよりはメタな位置関係でしょうかね。
ま、あまりその辺は深く考えず。
(好きな人は深く掘り下げるといいと思うけど)

舞城小説って毎回みょうに明るい感じに終わるのが好きだな。ポジティブで。
『ディスコ探偵水曜日 中』
 【舞城王太郎 新潮文庫】

いきなりどうでもいい話しですが文庫で読んでるので帯に「探偵。お前、招かれてるな」という水星Cのセリフが書いてあって、毎回「抱かれてるな」に空目する腐女子脳です。どうも。

中にして、パインハウスのわけわからない事件がついに解決。
奈津川家も微妙に絡んだりして、舞城ワールド全開です。
どうせ解決編を読んでも意味分からんと思ったんですが、まあ、そこそこわからなかったです。やっぱり。

時空を行ったり来たりする梢やその他諸々の原因もわかったところで、元凶の登場で中巻は終了。
トリッキーな外見に翻弄されるけれど、いつも舞城の小説は愛の物語だったりすることが多い。
ディスコは梢を救えるのか。世界を救えるのか。
取り急ぎ下巻に。
『ディスコ探偵水曜日 上』
 【舞城王太郎 新潮文庫】

タイトルおよび表紙からとてもラノベっぽいけど、いつもの舞城です。
つまり粗筋の説明とか無理。
探偵ってついてるので、久しぶりにミステリ寄りの話しだとは思うけど、『九十九十九』系統と言いますか。
上巻の後ろのほうで、『九十九十九』の話しが出てきてメタかよ、と思いつつ、今後それがどう影響してくるのかは皆目見当も付きません。
ただただ唖然呆然としつつ続き読みたいと思います。
『戦国BASARA 伊達政宗の章』
 【矢野隆 講談社BOX】

BASARAの筆頭にはさして興味がないのでさらーっと読みました。
作者がゲームをどれだけやってるかはわかりませんが、きっと一通りやるなり、資料もらうなりしてるんだろうなぁという感じはしました。セリフとか場面とかがゲームのものそのままだったりしたので。
3の伊達ルート(何色かは忘れた)がだいたい書かれてました。
まあ、しかし、3の筆頭はいまいち精彩を欠く存在なのでそれを小説にするのもなー。
対三成という軸を打ち出したために、幸村とのライバル関係という軸がぶれてる。

それはゲームの欠点で小説のせいではないですが。
小説に関しては筆頭が「すまぬ」と言っていたり、幸村の一人称が「俺」だったりとゲームに馴染みがあると、言わない言わない!!と言いたくなる言い回しがあちこちに。

わざわざ小説で読む意味はあまり感じなかったなー
『レイトン教授とさまよえる城』
 【柳原慧 小学館】

ゲームのレイトン教授のノベライズ、というか、小説オリジナル。
もう少し小学生向けに書かれているのかと思ったら、全然そんな雰囲気もなく、挿絵もなく、何問かクイズはあるけれども、それ以外は一般書とそんなに変わらない雰囲気で書かれてて、正直、誰向けなのかと思いました。
子ども向けだからってそんなに平易にする必要はないけど、もう少し砕けていてもよいのでは?
あれ、子ども向けじゃなかったのかな。

ゲームのレイトンの雰囲気はよく伝わっているけど、忠実再現するあまりそれならゲームをやってた方が楽しい、という気分に。
小説ならではの描写が欲しかったなー。

ルークは教授以外の人に本当に辛口。
『羆嵐』
 【吉村昭 新潮文庫】

先日、三毛別羆事件のことテレビでやってたみたいですが、それは見てないです。
日本で起こった獣害事件で最も被害の大きかったもの、だそうですが、それを題材にした小説。
第一次世界大戦の直後の頃の話し。
まずは、この頃の開拓民の住んでいた家が藁で、扉がむしろだっていう描写に驚き、ついでにWikiにも当時の家の再現写真があってそれを見てさらにびっくり。
こんな家で、北海道の冬毎年越してたのか。
特に事件のあった集落は貧しい村だったのもあるけれど、きっとこういう村の方が多かったんだろうなぁ。
そりゃあ熊も侵入するよ。

羆の襲撃、冬の暮らし、そしてその前にあった蝗の大発生と、とにかく開拓時代の暮らしが過酷で、北海道民としては先人に感謝の念を抱きます。

羆が身近な生き物なだけに、村人たちがパニックになるのも理解できる。
今だって起こりえないとは言えない。
うまく共生したいもんです。
『少女』
 【湊かなえ 早川書房】

由紀と敦子はそれぞれ人が死ぬところを見たいという目的で、夏休みに一人は病院へ、一人は老人ホームへボランティアで行く。
ここまでだとなんとなく、乙一あたりが書いてそうですが、そこに由紀と敦子の友人としてのすれ違いや、家庭の事情なんかも絡み合い、縦横に伏線が張り巡らされているんだけれど、その張り方がきれい過ぎるというか。
周到なのはよいことですが。

由紀と敦子が手を取り合って駆け出していくあたりで、終わればすごい爽やかなんですが、そうはいかず、紫織の遺書で終わるという。
そんな嫌なところで終わらなくてもいいんじゃないのーと言いたい気もしますけど、『告白』の例もあるし、あまりきれいに終わりたくない作家なのかもしれません。
そういう嫌な感じは悪くないと思います。
『螢』
 【麻耶雄嵩 幻冬舎文庫】

かつて惨劇のあった屋敷に宿泊に来た大学生たちが、大雨で屋敷に閉じ込められるというサークルドミステリ。
麻耶作品になじみがない人は、ひょっとしたら途中までホラーか?と思うかもしれない。
が、麻耶作品の定番てんこ盛りなバカミスです。
いや、本格なんだけれど最終的に笑ってしまうようなぽかんなオチが。
嫌がらせなのか?と思いたくなる邪悪な語り。騙り。
麻耶初読の人は怒りそう。

以下ネタバレ。
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