日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
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『ケルベロスの肖像』
 【海堂尊 宝島社】

なんと、バチスタシリーズ完結とのこと。
海堂ワールドの中心だから完結しないと思ってた。
他のシリーズで、東城大学がどうなってて田口先生がどうなってるのかもおぼろに分かってたし。
読んでみれば、確かに一区切りという感じ。
田口&白鳥シリーズでスタートした割りに、最後、白鳥がいまいち活躍してなくて残念だけど。
白鳥も部下に苦労することがあるんだなーとか、田口先生って戦車好きだったんだなーという意外な側面が見えました。

バチスタシリーズと言いつつ、『螺鈿の迷宮』が濃く絡んでいて、もう少しバチスタらしい話しにならんかったかのう、と思わなくもない。

恐らく、今後他のシリーズに田口先生は出るだろうし、白鳥はちょっとわからないけど、ひょっとしたら新シリーズになるかもしれないので、今後も海堂ワールド楽しみに。
『アリアドネの弾丸』
 【海堂尊 宝島社】

田口&白鳥シリーズ。
前作の『イノセント・ゲリラの祝祭』が会議ばっかりだったせいか、ミステリーじゃないと言われ続けたせいか、東城大で殺人事件が。
今回は、医療問題薄めです。
ミステリー書くぞという意気込みはひしひしと伝わってきたのですが、トリックありきで書いているなぁと。
友野くんの方はともかくとして、北山のほうはなんでそんな危険な場所でそんな手間かけて殺さないといけないの、という部分がすっぽり抜けてる。
別に病院長室でもよいわけで。
MRIを使ったトリックがやりたかっただけ、と言われても仕方ないですね。

田口先生の活躍が少なくて残念だなー。
白鳥が出てくるととたんに田口先生がかすむんだよな。
でも白鳥出てこないとつまらないし。
二人ともが活躍できるように上手くやってほしいです。
『夢見る黄金地球儀』
 【海堂尊 創元推理文庫】

海堂先生の今のところ、唯一の医療とは関係ない、コンゲーム。
やっぱり医療と言うフィールドじゃないと、発揮しきれないものがあるなぁという印象は否めない。
このジャンルは他に上手がいっぱいいるわけだし、海堂先生をあえて読む必要もない、という不利も働くし。

別に悪くはないのだけれど、こんなに杜撰な計画のコンゲームもあんまりないなー。
はったり感は海堂先生らしい。

とりあえず小夜ちゃんが元気そうでよかったね。よかったのかな。
『マドンナ・ヴェルデ』
【海堂尊 新潮社】


『ジーン・ワルツ』の続編、というより姉妹編。
ジーン・ワルツを、理恵の母親の視点から見たもの。
『医 学の卵』が好きなので、出生の経緯は興味ありますが、ジーン・ワルツの出来がいいだけに、同じ話しをもう一度読む必要があるのかちょっと疑問。
理 恵の母親のみどりが、意外と普通の女性で、今回の話しはやっぱり理恵には賛同しにくい。
双子の片方の話もそのうち読みたいです。

『ジェネラル・ルージュの伝説』
 【海堂尊 宝島社】

デビュー3年にして、早くもファンブックが。
ほとんど海堂先生が書いてるページなのも凄いなぁ。
タイトルになっている速水が何ゆえ、ジェネラル・ルージュとなったのかということがわかる、例の火災事件の話しが半分ほど。
猫田さんはやっぱり凄いなーという印象ですけど、私は。

海堂先生の生い立ちは意外にも面白かった。
作家になってからはあちこちに噛み付いて訴えられたり、ドタキャンされたり、ほんとまんま白鳥だと思うんだけどなぁ。自覚してないのかなぁ。

だがしかしハードカバーで出してくるなんて反則じゃないのかなぁとは思います。
こういう読本は大抵ソフトカバーじゃないのねぇ。
『極北クレイマー』
 【海堂尊 朝日新聞出版】

いままで話題に上がっていた極北市が舞台。
主人公は三枝先生だとばっかり思い込んでいたのですが、左遷されてやってきた外科医の今中が主人公です。
実際のところ三枝先生が主人公のほうがよかったような気がしましたが。
どうも今回の主人公はキャラが弱いなぁと。
北の田口先生といった役どころ。

私が北海道人なので、一番身近に感じる作品になっていました。
しかし作品の出来としては、何かの前哨戦のような雰囲気のまま終わってしまった部分もあり、これ一作ではいまいち評価が上がらないだろうなぁ。
三枝先生も逮捕されたっきりだし。
海堂先生はそろそろもうちょっとゆっくり作品作った方がいいんではないの?と思いますが。

姫宮は看護師の時よりも有能で驚きます。
それにしても、もう少し出番が長いかと思ったらけっこうあっさりと帰ってしまって、目的がわかったようなわからないような。

直接には出てこないけれど速水も元気そうで何より。
ラストに出てきた人がしばらく誰だったか思い出せなかった・・・こんな人になってたのかぁ。

あまり褒めてないけど、ラストの清川先生や今中の決断には胸打たれます。
いつもの熱い海堂節であることは間違いない。

北海道人としてはテキトーきわまりない北海道弁が気になりましたが、まぁいいです。海堂先生だから。
『イノセント・ゲリラの祝祭』
【海堂尊 宝島社】

藤原伊織の小説みたいなタイトルな、白鳥&田口シリーズ第4弾。
田口先生がついに厚労省に殴りこみ?というような内容紹介がありますけど、殴りこみというより、差し出されたというか、生贄?

前々から言ってるけど、海堂小説の大半はミステリーじゃないので、今回も帯に騙されず怒らずに・・・。

海堂劇場の第一段階が終了したという印象でした。
イノセントよりも前に出た作品全てが、その第一段階の布石。
内容は、新書の『死因不明社会』の小説版というか、続・死因不明社会というか。
新書を読んでいた人にとっては、入りやすい反面、同じ話しがもう一度延々出てくるので、しつこく感じるかもしれない。
読んでいない人は、怒涛の情報量に脱落する可能性が。
私は二回説明されて丁度よいくらいだったので、おさらいくらいの気持ちで読みましたけれど。

今までの作品で、小出しにして提起してきた医療問題を全面的に俎上に載せて、延々厚労省での医療事故調・創設検討会の会議で押し通し、それを小説として読ませるというのはなかなか力量があると思うのですが。
もちろんここにいたるまでに、キャラクターを定着させているというのも大きいとは思うけれど、検討会メンバーは田口先生と白鳥以外は初登場なので、レギュラーキャラの力はそれほど及んでいないのは明らか。
とはいえ、この本一冊だけの評価はそれほど高くはならないとは思いますけど。
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『ひかりの剣』
【海堂尊 文藝春秋】

海堂作品は装丁がかっこいいのが多いのだけれど、今回は微妙だなぁ。
まんま過ぎる。

速水と帝華大の清川が学生時代の話し。
舞台は再び、1988年。
二人のパートが交互に語られるのだけれど、清川パートが一人称なので清川の方が比重が大きい印象を受ける。
もうちょっと速水も・・・。
学生時代清川を見てると、『ジーン・ワルツ』の頃には少しはマシな男になったのかなぁと思い直さないこともない。
何せかにせ速水が男前すぎるから、しょうがないと言えばしょうがない。

前半の速水は、侍とか武士とかそういう雰囲気だったのだけれど、終盤はジェネラルの片鱗がうかがえて、なんだ結局20年後のあの顛末は高階先生のせいだったんじゃね?というようなことを思った。
高階先生が免許皆伝しなければ、生真面目速水でいったことだろうに。
いや、20年後も生真面目は生真面目なのだけれど。
田口先生が高階先生と速水の関係を知ったら、やっぱり私と同じ様なことを思ってやり切れなくなりそう。

田口先生はともかく、速水もサボり魔だったのが少し意外。
速水の「俺のわがままが許せないのなら、勝てばいい」というセリフ、田口先生に言ってみたら?と思うと可笑しい。
(土壇場ではいつも負けるジェネラル速水)
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『ジーン・ワルツ』
【海堂尊 新潮社】

今回は桜宮市を出て、東京は帝華大学の産婦人科医・理恵が主人公。
初めての女性主人公です。
海堂小説の脇役としての女性キャラはいいと思うのだけれど、主人公としてはどうかな〜と思っていたのですが、及第点かな。
同性としてはやはり同性キャラには採点が辛めになるのはいたしかなたいのです。

読み終わってみれば『螺鈿迷宮』と対になる小説のような気がしました。
舞台が帝華大学なので、いつもの面々は全然出てきませんけれど。
理恵は人工授精のエキスパートであり、代理母出産の疑惑を巡る内容ですが、テーマは不妊治療も含めて、出産などの産婦人科医療の危機。
お産によって母子が死亡したために、医師が逮捕されたのはほんとにあった事件。
産婦人科医療の危機は最近も、事件があったのでタイムリーなんですが、あらすじだけ見ると、人工授精や代理母のことがメインのように見えるのはやや不利な気がする。
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『医学のたまご』
【海堂尊 理論社ミステリーYA!】

最近、ヤングアダルト向け小説がひそかに流行なんでしょうか。
ヤングアダルトとライトノベルの境界がいまいちわからなかったのですが、本書を読んでそうかと納得するものがありました。
それについては後述します。

中学生の薫くんがうっかり潜在能力テストで全国1位の成績を取ってしまったために、ご存知東城大学医学部で研究することになってしまう話しです。
全編横書きなのがなかなかに辛かったのですが・・・。

私は海堂作品を刊行順にここまで読んできているので、その流れから見た感想になります。
前作ブラック・ペアンで現在(田口&白鳥シリーズを一応現在とすると)よりも20年前の東城大学附属病院が舞台になりましたが、今回は現在よりも10年ほど先の大学が舞台。
この30年という時の流れを端々に感じて感慨深い作品です。
何よりあのナイチンゲールで幼かったアツシがこんなに立派になったかと思うと、そのいちいちに目頭が熱くなる。
終盤でアツシが薫に「逃げ出すなよ」と言う時、きっと脳裏には瑞人のことがあるんだろうなぁと思うと、ナイチンゲールも無駄ではなかった、と思うのでナイチンゲールでがっかりした人はこちらも試しに読んでみたらどうでしょうか。印象が変わる・・・かも?
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