日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
『ペンギン・ハイウェイ』
 【森見登美彦 角川文庫】

どきどきしてはらはらして、モリミー史上最も切ない初恋物語。
夏休みに読みたかったです(ないけど)

小学4年生のアオヤマ君と不思議なお姉さんと、街に突然現れたペンギンたちと不思議な「海」。
摩訶不思議な光景はいつもの森見小説だけど、主人公アオヤマ君の視点から語られるそれらはわくわくの冒険譚でいつものダメ大学生とは大分印象が違う。

萩尾望都のコメントどおり、読み終わるとアオヤマ君を抱き締めたくなる。

『郵便少年』のアオヤマ君と同じなのかな。やっぱり。
あのアオヤマ君は3年生だった。
『宵山万華鏡』
 【森見登美彦 集英社文庫】

宵山を舞台にした連作。
一話目「宵山姉妹」を読むと、『きつねのはなし』系のかな、と思うんですが、「宵山金魚」「宵山劇場」に進むと、バカ学生物の流れなのかなーと思い直して、やっぱりきつね系かなーとなる。
今までの森見小説の要素がぎゅっとコンパクトに詰まった一冊。
不思議と怖さと荒唐無稽が渾然としていかにも祭りの日という話しでした。
『郵便少年』
 【森見登美彦 角川ほっと文庫】

入浴剤とセットになった謎なシリーズ、森見編。
入浴剤はまだ使っていないのでなんですが、内容は『恋文の技術』に続いて、再び手紙に関する短編。
郵便に興味を持つ少年が主人公で、さらっと爽やかに切ない話し。
ヒサコさんって、恋文〜のヒサコさんかと思ったら違った。
『恋文の技術』
 【森見登美彦 ポプラ文庫】

大学院生・守田がひたすら送り続ける書簡小説。
他の書簡小説と違うのは、返信が書かれていなくて、ただただずっと守田の書く手紙だけが続く。
もくじ見るとわかるとおり、送り相手は友人だったり妹だったり先輩だったり。
いつもの森見節。
でも初期の頃より、テンション落ちてきてる気がするのは、結婚したから?
しかし片思いが迷走してるのはいつも通り。

守田サイドの手紙で終始しているのにそれでも状況がわかるし、最後はやっぱりちょっと感動的なような気がする。
モリミーの小説の技術はどんどん向上しているなぁ。
『有頂天家族』
 【森見登美彦 幻冬舎文庫】

堅物だけど小物な長男、井戸の中に引きこもって蛙になった次男、阿呆なマイペース三男、すぐに尻尾が出てしまう四男、という狸四兄弟とその母親、下鴨一家の物語。
語りは三男。
老いぼれ天狗や、元人間だった天狗・弁天やら、金曜倶楽部などが入り乱れて、今回も京都を騒がせています。
とにかく狸兄弟がふかふかころころと可愛らしい。
基本、人間に化けているのだけれど、時々尻尾が出るのが愛らしい。
三男と赤玉先生の素直じゃないやり取りも可笑しく可愛いし、元許婚の海星も可愛い。
可愛い可愛いと思っていたら、偉大な父親の死の真相がわかったり、しんみりさせる。
下鴨家の話はまた読みたいです。
『新釈走れメロス 他四篇』
 【森見登美彦 祥伝社文庫】

名作を森見リメイクした短編集。正確には連作になってましたが。いつもの森見節です。
百物語だけ原作読んでないのですが、あまり読んでる読んでないは関係ないです。

「山月記」
これはモリミーと相性良さそうと思ったとおりの出来。
虎じゃなく天狗になるあたりが京都。

「藪の中」
殺人事件を映画サークルの三角関係に置き換えて。
モリミー的恋愛はいつも相互が結局理解しあわないところがいい。

「走れメロス」
図書館警察と詭弁論部が出てくるとだいたいおもしろな方向へ行く。
ということで、シリアス続きの中、原作を逆手にとって、囚われの友人の元に戻らず逃げ回り続けるという話しに。
ひたすら馬鹿馬鹿しくて楽しい。

「桜の森の満開の下」
原作をほぼ覚えてないのでなんともなんですが、切ない恋物語に。
甘酸っぱいではなくほろ苦い。

「百物語」
『きつねのはなし』のようなちょっと怖いような話し。
今までのキャラ総出演です。
『きつねのはなし』
 【森見登美彦 新潮社文庫】

いつもの話とはがらっと雰囲気が変わった怪談じみた短編集。
いつもの仰々しい文体が笑いのためにではなく、不可思議さと怖さを演出するために使用されている。
4篇がちょっとずつずれて関連しているあたり、『四畳半神話大系』の方法にも似ている。

「きつねのはなし」
こんな不気味な話しも書くのか、と改めて感嘆。

「果実の中の龍」
モリミー的妄想話しをシリアスな方向に転化するとこんな切ない話しになっちゃうのか、と。

「魔」
オーソドックスな話しではあるのだけれど、モリミーが書くとなんか新鮮。
先日読んだ『705号室』はつまりこういう風に書けば怖さとか不気味さが出るのだよ、というお手本みたいな話し。

「水神」
ラストはやっぱり何か京都市内を騒がすような大きなエピソードで締めたいというのがあるのか。
『夜は短し歩けよ乙女』
【森見登美彦 角川文庫】

モリミー的片思い小説。
『太陽の塔』の時よりも、大分ファンタジー色が強いです。別にそんなにファンタジー入れなくてもいいんではないかなぁと思いつつ、妄想なんだかファンタジーなんだかよくわからない可愛らしさはモリミーの持ち味の一つなのでまあいいか、と。
珍しく、片思いする側の“先輩”視点だけではなく、思われる“黒髪の乙女”の視点との交互で、二人のすれ違い行き違いが楽しい。
なんだかメリーゴーラウンドのような小説。
「恥を知れ!しかるのち死ね!」などの森見的名言に、やたら共感しちゃって困った。
片思いの甘酸っぱさというより、片思いの暴走。でもやることは、偶然を装って遭遇するだけ。かわいい。

解説の羽海野先生のイラストが可愛くて、イメージ通りで、漫画化は羽海野先生にしてもらいたかったなーとしみじみ。
羽海野先生は先輩のイメージは森見登美彦本人だったと書いていたけれど、私は終始、乙女のイメージが本上まなみでした。
『美女と竹林』
【森見登美彦 光文社】

妄想過多な随筆集。
三浦しをん系というより、乙一の『小生物語』系です。
随筆集なのだけれど、登美彦氏は〜という三人称系で語られます。
小説読んでても思ったけれど、よほどにシャイなのだろうな。登美彦氏。

竹林を刈ってそれをネタにするはずが、5回目にはもう竹林に行けない言い訳にページを費やすことになっている、駄目っぷりが素敵です。

終盤の前後編部分は、登美彦氏の小説のラストみたいな荒唐無稽さの中になんだかわからん感動があって、あれ、私こんな所でちょっと感動してる、いいの?という気分になる。
登美彦氏の小説はいつも素直には感動させない。そこがいい。

早く美女と巡りあえるといいね、登美彦氏、そして明石氏、と思いつつ、今しばらくは二人のやり取りを楽しませて欲しいなぁ。
本上まなみちゃんに会えてよかったねぇ。

今度京都に行ったら、竹林に美女ではなく登美彦氏を探しに行ってしまいそうだ。

それにしても装丁がシンプルだけれどすごく可愛くて好き。
『四畳半神話大系』
【森見登美彦 角川文庫】

『太陽の塔』に引き続き二作目。
いやぁおもしろい。おもしろい。
前作と同じ、もてない学生がうだうだしてる話し、かと思いきや、1話目を読み終わり、2話目が始まると、おや?となる。
1話目とまったく同じ冒頭、でも読んでいくとちょっとずつ違う展開が。
「私」が大学に入学して最初に選ぶサークルによってちょっとずつ展開が変わっていくのが、アドベンチャーゲームのようなシナリオだなぁと思いつつ読み進めると、最終話で見事に収束していく。
続きを読む >>