日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
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『ぼくたちが越してきた日からそいつはそこにいた』

【文:ローダ・レヴィーン 絵:エドワード・ゴーリー 訳:柴田元幸】

 

猫派のゴーリーが珍しく犬描いてるな、と。

でも解説読むとぼちぼち犬は描いていたみたいですね。

 

本文はゴーリーではないので不条理な不気味さはないけど、庭にいた犬がいつまでも懐くわけでもなく、ずっとそにいい続ける感じは普通の子供向け絵本とは違うなと。

越してきた家の子たちが、犬が待っているものをあれこれ考え続け試し続け、結局見つからないんだけど、犬の求める物を見つけるためにがんばり続ける。それでいいんだ、っていうラストはなんだかいい。

『ふたりのイーダ』
【松谷みよ子 講談社青い鳥文庫】

原爆がテーマの児童文学として有名だけど、物語の後半になるまでそれとはわからず、ミステリーのようなホラーのようなテイストで進む。
祖父母の家の近くにある無人の屋敷に、動いて話すイスがあり、イスは主人公・直樹の妹・ゆう子をイーダと呼ぶ。
屋敷の描写やイスがなんとも不気味で、子供の頃に読んだら怖かったかもなぁ。

イスや屋敷の秘密、イスがイーダと呼ぶ子がどうなったのか、祖父母の家の近所に住む、りつ子と共に直樹はその謎を調べ始める。
終盤、りつ子と広島のとうろう流しに行き、りつ子が流したとうろうが海岸に戻って来る話しをしていて、やっぱりあの流したとうろうはどこまでも流れていくものではないんだなぁ。
その情景が無残で哀切。

原爆の話しだし表紙怖いしで長いこと嫌厭してたけど、戦争を真正面からとらえるというよりも、その後を生きる人たちにどういう影響があって今があるのか、というそういう話し。
とらえ方は『桜の国夕凪の街』に近いかな。
 
『ゴールドラッシュ ! ぼくと相棒のすてきな冒険』
【シド・フィッシュマン 訳:金原瑞人・市川由季子 ポプラ社】

私が読んだのは古い方なのですが、今月改題新装版が出るみたいですねー。
最強の執事の方が引きはいいんだと思うんだけど、内容を読むと相棒っていうのが一つのキーワードなので、旧題の方がいいかなって思います。
ま、訳は一緒だからどっちでもいいんですけど。

ゴールドラッシュの時代、世話になっているおばを助けるため、一攫千金を目指して、12歳のジャックと執事のプレイズワージイがはるばるカリフォルニアを目指す冒険譚。
ジーヴス的、毒舌執事ではない、オーソドックスタイプで、ジャックも素直ないい子です。
基本的にはプレイズワージイの機転でなんとか切り抜けるけれど、ジャックもがんばって本当に二人三脚という感じ。

そんなヘビーな問題が起こることもなく、大団円です。
執事好きとしては、ラスト、執事じゃなくなるんかいという気持ちがなきにしもあらず。
『南総里見八犬伝 4 八百比丘尼』
【滝沢馬琴 編著:浜たかや 偕成社】

最終巻。
どれくらい時が経ったのかというのがいまいちわからないのだけれど、親兵衛が9歳になってたから、数年経過しているらしい。
ラストは全員参加の合戦で締め、大団円。
(親兵衛は本来は参加してないらしいけど)
全10巻くらいでもいいんだけどなーと思ったけど、児童書だからこれくらいの長さじゃないと読まれないのかな。

合戦が終わってめでたしめでたしとなって、じゃあ、嫁をもらおうという段になるのも唐突だったけど、その嫁選びが里見家の八人の娘と縁日の紐引き式・・・!
里見家にそんなに娘いたのかというのも驚きだけど、その大雑把さにも驚き。
まあ、娘の出番は端折られてるのかもしれない。

子供たちに家督譲ったあとに、また八人一緒に暮らしだすとかとか。馬琴先生さすがです。
『南総里見八犬伝 3 妖婦二人』
【滝沢馬琴 編著:浜たかや 偕成社】

前の巻でばらばらになった犬士。
おのおの玉梓に乗り移られたと思しき女・船虫に命狙われつつも、再会を目指す。
その過程で、残りの二人の犬士も登場。
女装男子の毛野、四角四面な性格の大角(名は体をということでわかりやすい!)が加わり、ラストには全員集合。
あ、まだ子供の親兵衛は合流してない。

この辺はだいぶダイジェストなのかな〜と思いつつ、悪女の船虫が思いがけずいいキャラで、単純な勧善懲悪かと思いきや、馬琴先生のキャラ立てのうまさはここでも光る。
次の巻で本当に終わるの〜?
 
『南総里見八犬伝 2 五犬士走る』
【滝沢馬琴 編著:浜たかや 偕成社】

なんやかんやで6人まで集まる犬士の巻。
当面の目標は集まって里見家に仕えることなのだけど、この巻の最後では集まったのにまた散り散りに。
しかもうち一人はまだ2才。
犬士以外はばんばん死んでいくので、キャラ多いよ!とならないのはいいところか。
児童向けなのでだいぶ端折られてるのだとは思いますが。
でもキャラ立てすごいので増えても大丈夫な気はしますけどね。

犬士たちの追手が銃撃してくるのだけど、室町後期にそんなに銃は普及してないんじゃないかなーと馬琴先生が時代考証してないないことを垣間見たり。
江戸の後期にもなれば室町なんてすごい昔のことだろうな。
『南総里見八犬伝 1 妖刀村雨丸』
【原作:滝沢馬琴 編著:浜たかや 偕成社】

江戸時代に書かれたファンタジー、でも舞台は室町。
言わずと知れたあの八犬伝。
遅まきながら読んでみた。
子供向けでだいぶ読みやすくなってるのだろうと思うけど、恐るべきキャラ立ち、厨二感。

妖婦・玉梓に末代まで呪われた里見義実。
その娘の伏姫は愛犬・八房と共に命をなくすが、その際に八つの珠に魂が宿り、それぞれ散り散りになる。
その珠を持つ八人の犬士が玉梓の呪いを打ち砕く。

この一巻は、妖刀・村雨丸を持つ信乃の周辺の話しが中心に進む。
男の娘として登場し、ちょっと天然で腕の立つ美少年ってすげぇな。
(幼少期に女の子の格好をさせると丈夫になるというあの風習のせい)

この巻では四人の犬士が登場。
みんなイケメンで、なんだこのシミュレーションゲーム。
 
『にいさん』
 【いせひでこ 偕成社】

ゴッホの弟テオの視点の絵本。
二人の足跡を叙情的に描く内容で、具体的なエピソードもほとんどないし、そもそも二人の名前も記されていない。
あとがきで「にいさんは、ぼくのすべて、ぼくだけのにいさんだったのです!」というテオの手紙が引用されているように、絵本もその言葉に沿った内容。
この兄弟はどうしてこんなに強固な絆で結ばれているのか、ずっと気になってるんですよねぇ。
他にも色々読んでみたいです。
『迷路の森の盗賊』
【瀬尾七重 旺文社】

児童書です。
挿絵の版画が無性に怖い。

花作りだった父親が死んで、その土地を売り払い町で一儲けしようとしていた若者が、森で追いはぎに相身ぐるみ剥がされ、さらにその森を根城にしていた盗賊たちに遭遇してしまい、そのまま追いはぎに復讐するため盗賊の弟子入りするという、児童書とは思えない展開の連続にえぇー!?という感じ。
盗賊としてめきめき腕を上げて10年、ようやく追っていた追いはぎらしき人物に出会う、という話しなんですが、主人公が改心するでもなく、わだかまりが解けるでもなく、もちろん復讐が成就するわけでもない。
ラストにはただ、ぽかんとするばかり。
老人と娘の幻を見た主人公は、追いはぎだった過去を許してやる気になったのかどうか。
許したところで、今度はここ十年の自分の所業をどうするつもりなのか。
ただただ、ぽかんとする終わり方でした。
『ねずみの騎士デスペローの物語』
【作:ケイト・ディカミロ 訳:子安亜弥 ポプラ社】

人間のお姫様に恋しちゃってハツカネズミの世界を追放される小さいハツカネズミのデスペローの物語。
児童書ですな。
ネズミの絵は可愛いけど、人間がちょっと怖い。

児童書にしてはちょっと変わった読み心地がしたのは、許しの物語だったからだと思います。
デスペローはハツカネズミらしからぬ行動のため裁判にかけられた時、弁護してくれなかった父親ネズミを許します。
それが優しさや愛情のためからではなく、そうしなければ自分の心を救えないから。
またピー姫も、自分の心を救うためにドブネズミを許します。

ドブネズミのロスキューロは醜く狡猾で、召使のミグも太って愚鈍。
王様は姫を愛してはいるけれど賢明とは言えず、登場するほかのキャラクターもみな美しい人物とは到底言えず、美化とは程遠い物語でした。
闇の世界にも光の世界にも身の置き所をなくしたロスキューロが哀れながら、印象深い。