日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
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『ジーン・ワルツ』
【海堂尊 新潮社】

今回は桜宮市を出て、東京は帝華大学の産婦人科医・理恵が主人公。
初めての女性主人公です。
海堂小説の脇役としての女性キャラはいいと思うのだけれど、主人公としてはどうかな〜と思っていたのですが、及第点かな。
同性としてはやはり同性キャラには採点が辛めになるのはいたしかなたいのです。

読み終わってみれば『螺鈿迷宮』と対になる小説のような気がしました。
舞台が帝華大学なので、いつもの面々は全然出てきませんけれど。
理恵は人工授精のエキスパートであり、代理母出産の疑惑を巡る内容ですが、テーマは不妊治療も含めて、出産などの産婦人科医療の危機。
お産によって母子が死亡したために、医師が逮捕されたのはほんとにあった事件。
産婦人科医療の危機は最近も、事件があったのでタイムリーなんですが、あらすじだけ見ると、人工授精や代理母のことがメインのように見えるのはやや不利な気がする。
理恵が担当する、それぞれにわけのある5人の妊婦たちは、特別な存在ではないと、身近な出産を思い出すと実感される。
もちろん、人工授精や代理母出産はないけれど、流産や先天的な異常はある。
それだけに海堂作品の中では一番、実感を伴って危機として受け止められる一作でした。
あちこちのシーンで思わず落涙。
妊娠・出産ってするしないに関わらず、女性には大きな問題です。

理恵が取った方法の善し悪しは問題ではない。
なんとなく女版速水みたいだな〜と思った。
そして、理恵のやり方は小説と言う手段を取った海堂先生自身にも重なった。

理恵に相対するには清川がやや軟弱な印象。
一人称が僕なのが意外だった。
理恵がどうなっていくのか、清川がどうするのか今後のことも気になる。

なんだか未来は明るくない感じではあったけれど、『医学のたまご』を読んだ人には、少なくとも双子の片割れはしっかりと成長していることを知っているから、安心できる。

前々から思っていたのだけれど、極北市っていくらなんでもなネーミングだと思う・・・。
そのうち、舞台になったら嬉しいけど。
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