日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
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『ロボット』
【カレル・チャペック 訳:千野栄一 岩波文庫】

ロボットという言葉の語源となるチャペックの戯曲。
人間の代わりに人造人間が労働を肩代わりする世界。
ロボットたちは痛みもなく、感情もない。
けれど、意思をもつロボットを作ったためにロボットたちは反乱を起こす。

今となってはこの手のテーマは山ほどあって、そんなに新しい感じもしないのだろうなと思って読んだのだけれど、1920年のこの作品が現代の作品よりも新鮮に感じられた。
まず序幕でヘレナという若くて美しい女性が、ロボット工場を訪れロボットとはどういうものなのかという説明がされる。
工場には社長のドミン、ファブリ技師、ガル博士、ハレマイエル博士、ブスマン領事、アルクビスト建築士の6人がいてそれぞれがヘレナにロボットを説明するのだけれど、みなが去った後ドミンがおもむろにヘレナに求婚し、しかも自分が言わなければほかの五人もあなたに求婚する、と言い出す。
冒頭はロボットよりも、この奇妙な人間たちの関係が気を引く。
そして第一幕では、社長であるドミンとヘレナの結婚10周年を祝う。
10年経っても、ドミン以外の五人がヘレナを愛しているのは明らかで、いったいどういう10年だったのかと思う。

最初からロボットに同情的だったヘレナが、ロボットに感情が宿るようにしてほしいとガル博士に頼んだことから、ロボットの反乱は始まり、人間たちはあっさりと滅亡においやられるが、ロボットたちは自分で自分を生産できない。
最後に一人残された建築士のアルクビストにも生産方法はわからず、一人生き残ってロボットに囲まれて生きているアルクビストの独白や、ロボット・ダモンの解剖シーンは舞台で観たらさぞ鬼気迫るシーンになるだろう。

最後に人間もロボットもいなくなり、愛が残るのは美しいような恐ろしいようなラストだった。
 
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