日々読んだ本(漫画、映画、例外的にテレビドラマ)の感想を、
ネタバレあり、粗筋なしで書いています。
批評批判は目的ではなく、個人的な感想文です。
<< October 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

【フィリップ・K・ディック 訳:浅倉久志 ハヤカワ文庫】

 

映画『ブレードランナー』の原作としても有名な本書ですが、映画の方は観た記憶がないので映画の話しは脇へ置いて感想を。

 

火星から逃亡してきた八体のアンドロイドを追う賞金稼ぎのリック・デッカードの物語。

舞台は第三次世界大戦後、放射能に汚染された地球では動物がとても希少価値の高いものとして、みんな本物の動物を飼うことを願っている。

本物の動物を飼うことはステイタス以上に、人間性の証明としてほぼみんなが何かしらの動物(虫とか爬虫類も含む)を飼っているが、リックたち夫婦は電気羊しか飼っていない。

 

生き物が嫌いな人はこの辺、いまいち共感できなさそうな設定だな、と思いました。

私は動物好きなのでふむふむ、という感じですけど。

 

話しの筋はシンプルなんですが、アンドロイドの存在定義があとがきにあるように、非人間的なものの比喩としてアンドロイドがいて、マイノリティの比喩としてのアンドロイドじゃないのはだいぶほかの作品と違うな、と。

人間っぽいアンドロイドもいれば、アンドロイドっぽい人間もいる。

リックはそこで生物学上の区別の意味を見失い、仕事の意欲も喪失する。

 

しかし物語の舞台、1992年なんだなー。もう遠い昔だよ。

近未来がすでに過去になった時代にいるなんてめまいがする。

『すべての美しい馬』
【コーマック・マッカーシー 訳:黒原敏行 早川書房】

祖父の死で牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは親友のロリンズと馬に乗って、メキシコへ渡った。
道中で、年下の少年と出会い、思いがけない運命をたどっていく。

映画化しているようですが、そっちは観ていません。

主人公のジョン・グレイディと出会った少年ブレヴィンズとの道中は、冒険物語にも見える牧歌的なものなのだけど、ブレヴィンズの馬がいなくなって以降、不穏な展開に。
そして、ジョン・グレイディとロリンズが辿り着いた先で、ジョン・グレイディが身分違いの恋をすることにより一気にバイオレンスの色合いが濃くなる。
二人が刑務所送りにされてからの重苦しいほどの緊張感と暴力は青春小説とは呼び難い。
ジョン・グレイディの一本気な道徳観はこの不条理な暴力の中では清々しいし、ロリンズとの友情もいい。

会話のカッコがなかったり、一文の独特の長さが慣れないとなかなか読みにくい。翻訳大変だろうなぁと思う。
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』
JUGEMテーマ:映画

あけましておめでとうございます。
元旦から観た映画がこれでよかったのか疑問ですが。
あと、まだ去年の映画感想全部書けていないという・・・。

【監督:コーネル・ムンドルッツォ ハンガリー・スウェーデン合作】

雑種犬に重税をかけられた街で、母親が演奏旅行でいない間別れた夫の元にリリと愛犬ハーゲンが預けられる。元々父親と折り合いが悪く、ケンカの末ハーゲンが雑種だったためもあり捨てられてしまう。
捨てられたハーゲンは、街を彷徨い、闘犬にされ、そこを抜け出した後ついに保健所につかまってしまう。
一方、リリもハーゲンを探す。

という話しなんですが、主人公の少女リリがもっとがんばって、ハーゲンをかばっていれば捨てられなかっただろうし、捨てられた後ももう少し頑張って探してもらいたい。
『戦火の馬』の主人公くらいがんばってもらいたい。
犬版『猿の惑星』とも言われてますが、別にDNAいじられるわけでもないので、野良犬たちが数百匹暴れるだけでそこまで大騒ぎにはならない。
設定部分も、どうして雑種に重税かけられているのかわからない。

という具合にストーリー部分はだいぶ甘いんですが、実際の保護施設から連れてきたと言う250匹の犬たちがただただ凄い。
犬たちの仕事ぶりを観る映画。

しかしあのラストの後、犬たちがどうなるか考えると・・・逃げ切れるとは思えないし。

撮影に使われた犬たちはみんな飼い主が見つかって引き取られたそうですが。

 
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
【監督:J・J・エイブラムス アメリカ】

ep1、とんで4、5、6を最近観たばっかりなんで、思い入れ薄いんですけど、その分あまり難しいこと考えず楽しめたかと。

新世代と親世代が上手いことバトンタッチできた新シリーズの1話目という感じで、残り2作が楽しみだなあ。
レイもフィンもポーも可愛いキャラで、新しいドロイドのBB8はもう見た目から可愛いし。

不安要素はカイロ・レンのキャラの弱さだけど、今後なんであんなになっちゃったのかがわかってきたらもうちょっとキャラ立ちするかもしれない。
 
『厭な物語』
【アガサ・クリスティー 他 文春文庫】

厭な話しばかり集めたアンソロジー。
イヤミス的な厭なオチ系かと思ったら、始めから終わりまでずっと厭な話しというのもあり、いろいろな厭な話し。
内容も内容なのでネタバレしつつ各話しの感想を。

「崖っぷち」 アガサ・クリスティー 訳:中村妙子
クリスティーらしい、じめっといやな話し。
この中では一番軽め。

「すっぽん」 パトリシア・ハイスミス 訳:小倉多加志
子供と母親のコミュニケーション不全。
多分そうなるんだろうな、というオチだけど、そのきっかけのすっぽんが鍋に放り込まれる描写がとてもいや。

「フェリシテ」 モーリス・ルヴェル 訳:田中早苗
このアンソロジーに入っていなかったら、もっとラストに落ち込むことになっただろうけど、厭なオチになるとわかっているので、ある程度の心構えは。
他と違ってリアリティのある厭な話し。

「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」 ジョー・R・ランズデール 訳:盪蛙人拡
一行目からラストに至るまでずっと不快な小説。
意外な結末もどんでん返しもなくただただずっと厭な描写が続く滅入る。

「くじ」 シャーリー・ジャクスン 訳:深町眞理子
村人たちが集まってくじを引く。
このアンソロジーに入っているので、くじに当たった人にはろくなことがないだろうというのはわかるけれど、そこに至るまでの牧歌的な描写がオチとの落差を生む。

「シーズンの始まり」 ウラジーミル・ソローキン 訳:亀山郁夫
短編集『愛』に収録されていたので既読ですが、厭な話しではあるけれどソローキンの中では割とまともな話しのような気もする。

「判決 ある物語」 フランツ・カフカ 訳:酒寄進一
遠くにいるうだつのあがらない友人の話しだったはずが、主人公が父親と話し始めたところから突然の不条理ワールドに。
置いてけぼりのラスト。厭な話しというより不可解な話し。

「赤」 リチャード・クリスチャン・マティスン 訳:高木史緒
『地球最後の男』のリチャード・マシスンかと思ったら息子の方だった。息子も厭な話し書いてるんだなー。
男が拾い集めている赤いものが何かわかった瞬間げっそりする。

「言えないわけ」 ローレンス・ブロック 訳:田口俊樹
殺人犯と妹を殺された男の話しで、男が復讐を遂げるようなすっきりする話しなわけもなく。
ちょっと小洒落てるので厭な感じは薄いかもしれない。

「善人はそういない」 フラナリー・オコナー 訳:佐々田雅子
解説にもあるように「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」みたいな唐突に降ってわいてくる暴力になす術もなく死んでいくという話しだけど、事が起こるまでが平和的なので事件ってこうやって起こるのかな、という気持ちにもさせる。

「うしろをみるな」 フレドリック・ブラウン 訳:夏来健次
解説を挟んでさらに後ろに収録されている作品。読むとその理由がわかる。
タイトルからラストは後ろが怖くなるような話なんだろうなーとは想像がつくけど、メリーさん的なものではなかった。
英語圏で発売した当時に読んだ人はもうちょっとぞっとしたかもしれない。
 
『キングスマン』
JUGEMテーマ:映画
【監督:マシュー・ヴォーン イギリス】

スパイ版プリティウーマン。
『キックアス』と同様、原作マーク・ミラーをマシュー・ヴォーンが映画化。
紳士なスパイ、って売りだけど、上記のコンビの作品なので馬鹿で下品でえげつないウィット満載。
アクション初のコリン・ファースや、マイケル・ケイン、マーク・ストロングなどの英国名優が揃っているので上品な気がしてしまう。

今作が映画デビューのタロン・エガートンや、ソフィ、クックソン、ソフィア・ブテラなどの若手もみんなよかった。

そして世界救ってる時より悪役やってる時の方が生き生きするサミュエル・L・ジャクソン。

2も決まっていて、どういうわけかコリンも出るようなので楽しみに。
『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』
【監督:クリストファー・マッカリー アメリカ】

もう5作目のこのシリーズを映画館で観るのは今回が初めてで、ひょっとしたら全4作観てないかもしれないというくらいの観客なんですが、楽しかったです。
IMFが解体されイーサンは指名手配に。

映画観る前に、トム・クルーズ自身のスタントシーンを散々見てたせいで、離陸する飛行機のシーンとか、実際に6分息止めていたという潜水シーンに、お馴染み軽装のバイクシーンが普通の映画と違うハラハラに満ちていた。
トムに大怪我なんかされたらもう大変。監督も気が気じゃないだろうな。

サイモン・ペグ演じるベンジーの出番が増えて、イーサンに人間味が増した気がします。
完璧超人みたいなイーサンもベンジーの前だと見栄はったりかっこつけたりしたくなるんだな、と。
それはとりもなおさずトムとペグちゃんの関係そのものに見えて、今更ながらにトムの魅力が再発見された形に。

スパイものの暗さが微塵もないこのシリーズ、ヒーローものとして今後も続いていくようなのでまた楽しみです。
怪我には気を付けてもらいたい。
『ジュラシック・ワールド』
【監督:コリン・トレボロウ アメリカ】

あのジュラシックパークシリーズの続編。
パークまだやる気だったのか、っていう。

クリス・プラットを主演に、パークが再び再開。
一作目大好き人間としてはあの衝撃と恐怖は超えないんだけど、観た時子供だったしな・・・。
Tレックス並、それ以上に狡猾さで恐怖を子供心に与えたラプトルが、人間の味方になったのが熱い展開と言えば展開なんだけど、なんとなく残念な気もしてしまった。
Tレックスはさすがの貫禄でよかったなー。

モササウルス怖すぎるけど、食われたあの彼女が気の毒過ぎた。
そこまで悪いことしてないよ・・・。
『槐』
【月村了衛 光文社】

野外活動部の夏休み合宿で、芦ノ湖を訪れた中学生と担任が、そこでオレオレ詐欺で儲けた四十億をめぐる抗争に巻き込まれるという、サバイバルスリラー。
巻き込まれるというか、詐欺集団・関帝連合は仲間が隠した四十億を探し出すため、どうせたいした人数いないだろうとキャンプ場の人間を皆殺しにすることに。
もういきなり計画が大雑把なんだけど、中学生たちはあとあと人質とかに使えるだろと一応生きたまま捕まる。
その後、対立する中華系マフィアが出てくるのだけど、こいつら相手に中学生じゃ人質にも盾にもならないだろと。

冒頭こそ、無残に殺される人がいたけど、その後は中学生たちにはそれほどヘビーな災難は降りかからないので、子供が痛い目に合うの好きじゃないからいいんだけど、じゃあ、なんで中学生にしたんだ、という疑問もある。
中学生たちが『ホーム・アローン』ばりに知恵を絞って戦うのかなと思ったけど、途中から”槐”が登場し敵をなぎ倒していく。
爽快感あると言えるけど、槐のキャラがいまいちかっこいいとも言い切れない。

一気読みできる話しではあるけど、全体的にキャラの魅力薄いなーという印象だった。